東京・杉並の住宅街にある「okatteにしおぎ」は、“食”を中心に据えた会員制のコモンスペースだ。明るく広々とした土間のキッチンとダイニング、ゴロンとくつろげる畳スペースや板の間は、メンバー同士がシェアする「自宅外キッチン&リビング」。ごはんをつくる、一緒に食べる、小商いの仕込みをするなど、思い思いに活用しながら「みんなの“お勝手”」を共に育んでいる。
メンバーの自主的な企画や運営により「まちのコモンズ(共有地)」が形成されていったプロセスをオーナーが振り返りつつ、この場所が生み出す価値を考察する。
第4話 okatteを「みんなでつくる」ワークショップの話
設計・施工フェーズとワークショップ
自宅を「まちに開かれたシェアハウス」にしたいという思い(第1話参照)をきっかけに、株式会社エヌキューテンゴ(以下N9.5)の影山知明さん、ビオフォルム環境デザイン室の山田貴宏さんとの出会い(第2話参照)を経て、2014年3月に始まった「西荻窪プロジェクト」(当時okatteにしおぎという名前はまだなく2014年6月のプロジェクト会議で決まった)。3か月の調査・企画フェーズの「ブートキャンプ的ブレスト」でのコンセプトづくりと基本的な設計案の検討(第3話参照)を踏まえ、2014年6月にはN9.5とのコーディネート契約、ビオフォルム環境デザイン室との設計契約を結び、設計・施工フェーズがスタートした。
しかし、このプロジェクト、ただ、図面を引いて施工業者に施工してもらうわけではなかった。もちろん、山田さんによる詳細な設計の検討と、施工業者の選定(全体の施工は株式会社巧匠建設、キッチンの造作・家具製作は家具工房一木)、予算の検討、資金調達、施工の実施、入居者募集といった、いわゆる建物づくりと事業計画のステップは踏むのだが、それと並行して、N9.5によるユニークなプロセスが待っていた。それは、設計の詳細や事業計画作成の一部をワークショップ形式で進めることである。
N9.5が運営するワークショップのスタイルはプロジェクトごとのオーダーメイドである。「西荻窪プロジェクト」では、前半の6月から10月にかけて、利用者として想定される人たちに、工事が始まる前の我が家のリビングに毎月集まってもらい、図面を見ながら「コモンスペース(キッチン)の利用イメージや空間づくりのアイディア抽出」「1週間のスケジュールを作って利用と運営のあり方を考える」「会員制のしくみの案を作ってみる」といったミーティングを計5回行った。
プロジェクトメンバーが声をかけ、集まってくれた参加者は約15名。イベントプランナー、ウェブデザイナー、カフェ運営経験者、小さな本屋をしている人、パン教室主宰者、会計士等さまざまで、中央線沿線に住んでいる人も多いがそうでない人もいる。年代的には20代から60代まで幅広く、女性がやや多めだった。
ファシリテーション(司会)はN9.5の齊藤志野歩さんが担当、調査・企画フェーズのブレスト同様、篠原靖弘さんがレコーディング(書記)を行った。それ以外のプロジェクトメンバーは参加者と同じ立場でワークショップに加わった。
コモンスペース利用シーンを想定してみる
◆第1回:自己紹介、どんなコモンキッチンにしたい?(2014年6月12日)
この日は自己紹介がてら「どんなキッチンにしたいか」について。「勝手に入って作って飲む」「夜な夜な友達が集まって作って食べる」「幼稚園ママや働くお母さんが集まれる場所がないので、子連れで集まれる」「仕事から帰ったらごはんが作ってある」「日替わり店長の週1カフェ」「炬燵出しっぱなしでなんとなく集まっている」「ママ友以外の友達ができる」「子どもをお風呂まで入れてから帰りたい」「映画を上映しながら食事をする」「ギャラリー」「朝ご飯が食べられる」「お酒ボックス」など、「自分の家のキッチンではなかなかできないこと」を楽しめるコモンキッチンのイメージがふくらんだ。
「誰かがホストになると長続きしなさそう」「日直を作ったら」といった、実際自分が使う側になったことを想定した運営についての不安や意見も出された。
◆第2回:キッチンの使い方と空間プランの検討(2014年7月17日)
設計図をもとに、空間についての希望を出し合った。ここで出てきた意見で、実際の設計に活かされたのが以下の3点だった。
①土間キッチンをアイランド型に
料理教室などの際、調理台をまわりから囲んだり、人が多い時にまわりこんだりできるように調理台をアイランド型にしたい(当初案では調理台の一方が壁についていた)。
②畳スペースを設ける
小さい子どもが眠くなったりしたときにごろんと転がれる畳のスペースが欲しい。赤ちゃんのおむつ替えにも畳のほうが便利(当初案では小上がりは全面板張りになっていた)。
③半屋外空間が欲しい
泥付き野菜を洗ったり、七輪で魚を焼いたり、子どもが水遊びをしたりといったことに使えるように、屋根と水場がある屋外空間がほしい(外流しのある犬走り―建物の軒下の外壁周辺部を数十センチの幅でコンクリートなどで敷き固めたもの―を設ける)。
また、以下の2点については、設計変更ではなく設備や使い方で対応することになった。
①映画等を上映できるスクリーンが欲しい
イベントの時など、スライドを投影したり、映画を上映したりできるプロジェクターとスクリーンが欲しい。これについては、板の間の一方の壁を白く塗ることで、スクリーン代わりに使えるようにした。天井吊り下げ型のプロジェクター設置案も出たが、落下の危険性などもあり、置き型のプロジェクターで対応することになった。
②ベビーカーや自転車を置く場所が欲しい
ベビーカー、自転車は建物北側の駐車スペースを使うことになった。車いす対応も含めたバリアフリーにしたほうがいいのではという意見もあったしかし、建物の構造上、どうしても段差は出てしまうので、必要な時はその場にいる人が人力で対処することになった。
機器類についても、「自宅キッチンにはない調理器具(大きな鍋、コーヒーマシーン、せいろ等)があると気分が上がる」「いろりで火を見ながら調理したい」「共有のワインセラーが欲しい」などの意見が出た。こうした意見も反映し、業務用のガスコンロ、イタリア製ガスオーブンを設置した。いろりは安全性の観点から設置がむずかしいので断念。調理はできないが、炎が見えるペレットストーブ (木の粉を円柱状に固めた「木質ペレット」を燃やして部屋を暖める暖房器具)を設置した。
◆第3回:1週間のスケジュールを作ってみる(2014年8月11日)
平日は朝ご飯に始まり、平日昼のママ同士の子連れランチ、平日昼間のベビー向けイベント、ヨガ、料理、ハンドメイドといった教室、平日夕方の学童向け寺子屋、平日夜の「まち食」(第3話参照)的なごはん会、飲み会。週末は朝の掃除&ブランチ、終日の展示会、昼間のワークショップや映画上映会、トークセッションといったイベント、夜の食事会、パーティなど。毎日このスペースで行われることが次々に参加者から出てきて、キッチンが実際に使われている様子をリアルに想像することができた。
色とりどりの付箋を見ていると、いろいろな人が集まることで、大家一人の想像を超えたさまざまな使い方が生まれていくのだということが実感され、楽しい気持ちになった。
キッチンでの週間スケジュールのイメージは、プロジェクトメンバーの意向も加味して、N9.5によって下図のように整理され、okatteにしおぎの運営のベースとなった。ここでユニークなのは、平日夜の食事シーンを「まち食」タイムとしたことだ。コレクティブハウジングのコモンミールや「阿佐谷おたがいさま食堂」のしくみを取り入れたこの「まち食」タイムは、その後、「okatteアワー」として、今もokatteにしおぎ(以下okatte)のユニークさのひとつとなっている。
運営について考えてみる
◆第4回:運営のしくみについて考える(2014年9月11日)
運営のしくみについて、この時点では、コモンスペースの管理運営を担うなんらかの組織をつくり、その組織が利用者から利用料を集め、オーナーに賃料を支払うということは決まっていた。しかし、お金の流れや管理方法など、その組織をどのように動かしていくかということについてはまだぼんやりとしていた。なんとなくわかっていたのは、不特定多数に対する単なる「場所貸し(レンタル)」にはしたくないということ、できれば利用者同士がなんらかのつながりを持って、この場所を共有できるようにしたいということだった。
この日は、前回までのように自分の希望を自由に出すという雰囲気から一変し、運営についてのつっこんだ話し合いとなった。そして、最初は古民家カフェの個室貸出や、レンタルキッチン等、いろいろな事例を調べ、利用時間に応じて料金を支払うという都度利用方式を中心に、利用者と運営側双方の立場で運営方法を考えた。
そんななか、ある参加者が会費制にするのがよいのではと提案した。当時は今でいうサブスク(=サブスクリプション。商品やサービスを一定期間、定額で利用できるしくみ)の黎明期で、毎月商品が送られてくる切り花などの定期購入が話題になっていた。コモンキッチン&スペースについても、あまり負担にならないくらいの会費(月額1000円程度)を払って、ある程度自由にその場所を使える会員になることで愛着がわくという発言もあった。リーズナブルな会費制にすることにより、オープンすぎず、管理しやすく、かといって、閉鎖的になりすぎない適度な規模(100人くらいを目標に)を保つことができるのではないかという意見も出された。そして、会費をベースにイベント等については都度利用料金をプラスするという案が浮上したのだ。
会費を何に対して払うのかについては、「いつでもキッチンを使って食事を作り食べることができる」「他の会員とコミュニケーションを取れる場をもつ」そして「この場から生まれるもの(価値)(を受け取る)」が挙げられた。これらについての権利を持つこと(つまり、場のオーナーシップ)に対して会費を払うということである。これはメンバー全員が場を共有するという、現在のokatteメンバーシップの基本的な考え方につながっている。ワークショップの中でこうした考え方が出てきたことは、「調査・企画フェーズ」で「つくってたべるみんなのお勝手」というコンセプトがおりてきた時に続く重要な瞬間だった。
この日のワークショップでは、会員は一般の会員と運営メンバーという2種類に分けて設定されていた。運営メンバーはイベントの企画など、「つくる側」にまわることによって、会費を一部免除されるといった特典を設ける。一般メンバーについても、「日直」のような持ち回り制で掃除など場の維持の役割を担うということが想定されていた。下の図はN9.5がワークショップを受けてつくった、メンバーの種類についての当初案である。
しかし実は、現在okatteでは「運営メンバー」という枠を設けていない。また、持ち回り制の役割分担もない。今後変わる可能性がないわけではないのだが、okatteのメンバーシップは、オープン当初は「一般」「住み込み(入居者)」「小商い(キッチンの営業許可を利用する)」の3種、現在は「一般」「住み込み(入居者)」「ワーク(週2回のワークデーでコワーキング的に使う)」「食のワーク(キッチンの営業許可を利用する)」の4種である。これはokatteという場所の利用の仕方(利用時間や営業許可等)による区分けであり、運営へのかかわり方による区分はない。
このことについては、今後の回で詳しく述べるが、okatteでは、メンバーがそれぞれの希望と意志(ある場合には他のメンバーからの要請もある)によって、自律的に企画や運営、場の維持管理を行っている。メンバーの中でイベントのアイディアを思いついた人は、予約をすれば自由にイベントを行うことができ、メンバーの協力を依頼することもできる。月例の定例会や定期的な掃除に関しては、話し合いたいことがあるメンバーや都合のつくメンバーが参加する。メンバーの中で、okatteに関わる頻度や時間、関わり方の軽重はあるが、それが自発性によりもたらされたものであるなら、無理に平等性を追求する必要はないのかもしれない。ただし、やってくれている人への感謝と、問題があった時にそれを定例会などでオープンに話し合える雰囲気は必要不可欠である。あまりにも特定の個人に負担がかかり過ぎるようなら、別のやり方を議論することになる。
また、モチベーションの喚起やインセンティブは必要であり、コーディネーターであるN9.5とオーナー、その時々の有志メンバーが協力して考え、実行している。現在は、okatteメンバー間でやりとりできるメッセージ記入式通貨のトライアルを企画中である。
ワークショップ参加の効果
◆第5回:まとめの会(2014年10月9日)
4回のワークショップを経て、参加者それぞれの新たなコモンキッチン&スペースへの思いを改めてあげてもらった。
- プロセスに参加できるのは楽しい
- 味噌や保存食をみんなで作って使えるといい
- 学童の居場所として、顔が見える関係だからここにいれば安心
- 地方と都市をつなぐことで価値が生まれるのではないか。地域の食材の共同購入やマルシェの開催、西荻窪界隈の地産地消のハブにもなりそう
- まだ見ぬご近所さんの隠れたスキルを発見できるご近所ゼミナールの開催
- リーズナブルな月会費を払ったうえで、イベント時にプラスの利用料をはらうのも、楽しみがともなっているならお金を出せる
- やりたいことはたくさんあるし、やりはじめて、やりながら調整していけばなんとかなるのではないか
- プロ対素人ではなく、「おたがいさま」の関係をつくる
- ひとり暮らしで仕事が夜まででも、できる範囲で関われるにはどうすればいいか考えたい
こうした意見を見ると、最初はそれほど思い入れもなく断片的なアイディアを出していた参加者が、最終回にはまだできていないコモンキッチン&スペースをまるで自分が運営する場所であるかのように考えていることがわかる。
ワークショップの参加者の中にはその後、okatteの具体的な運営ルールづくりのプロセスに参加し、okatteのメンバーになった人もいるが、メンバーにはならなかった人も多い。しかし、それぞれがこの場所を「自分の場」として考える機会を持つことで、その後okatteメンバーになった人のokatteに対するオーナーシップが醸成されたことは確実である。
彼・彼女らは初期のokatteにおける中心メンバーとして、イベントを企画したり、食事会を開いたりし、運営にも積極的に関わってくれた。そして、新たにメンバーに加わった人と共に、okatteにしおぎのベースとなる雰囲気やマナー(ここでいうマナーは行儀作法ではなく、行動様式とか立ち居振る舞い・態度のあり方)をつくり出してくれたのである。
コモンキッチン&スペースづくりに参加するイベント
設計施工フェーズ後半の11月から3月にかけては、実際の施工スケジュールに合わせて、「大家の家の不用品ガレージセール」「飾り大黒柱を提供してくれる奥多摩の製材所見学」「草屋根づくりワークショップ」「太陽光発電パネルの設置ワークショップ」という4つのイベントを実施した。
◆大家の家の不用品ガレージセール(2014年11月15日)
okatteにしおぎをつくるにあたり、私は、約20年暮らした自宅から敷地内の祖父母宅に移ったのだが、そのためには自分の家と祖父母の家という2軒分の片付けが必要だった。N9.5のメンバーやワークショップ参加者にも手伝ってもらい、2軒分の家財の仕分けをし、膨大な不用品の一部はガレージセールで売った。近所の人やワークショップ参加者などが来てくれ、売り上げはokatteの「大黒柱」の購入費の一部になった。
◆奥多摩の製材所見学(2014年12月9日)
okatteの「大黒柱」や木材全般を供給してくれる東京都西多摩郡日の出町の浜中材木店で、杉の木の伐採現場と製材所、製材の廃棄物を使った木質ペレットの製造所を見学。同じ東京都の山で育った杉の木が杉並区にやってくるまでの過程を見ることで、長い年月をかけて育った木が、多くの人の手によって家になることを知ることができた。そして、okatteという「家」が単なる消費財ではなく、一種の生命体であることを実感させられた。実際、木材を多用し、大工さんの手作業で造られたokatteの空間は、訪れる人になんともいえない「気持ちよさ」を与え、愛情をもって接したくなるぬくもりがある。それは、年月を経ても劣化するのではなく、より味わい深くなる魅力を醸し出している。
◆草屋根づくり(2015年2月28日)
増築したコモンキッチンの屋根は、室内の温度変化を緩やかにし、夏の照り返しを防ぐため、草屋根とすることになった。草屋根づくりワークショップでは、SNSで呼びかけて集まった人たちが、「アクアソイル」という軽量土壌を袋詰めして、それを防水した屋根面に敷き詰め、そこに芝を貼るという作業を、施工業者の指導で行った。また芝生を貼った屋根の所々に枠を設置して、腐葉土などをしきつめ、ハーブや草花の苗を植えた。
◆太陽光発電パネル設置(2015年3月15日)
草屋根の上に、太陽光発電のミニパネルを設置し、okatteのキッチンの照明の一部と携帯電話の充電ができるコンセントをつなぐという作業を、「藤野電力」の指導で行った。このグループは山田さんが住む「里山長屋」(第2話参照)のある神奈川県相模原市藤野で、自前の電気をつくる活動をしている。
草屋根づくりと太陽光パネル設置のワークショップは、okatteの設計コンセプトである「環境共生型」の建物づくりを、一部分でも自分たちの手で手掛けてみようという試みであった。
それらのワークショップに参加した人たちの手によって、草屋根ができていき、太陽光のエネルギーが電気に変わって電球がともるのを見るのはとても楽しかった。今のものづくりは大きな企業が手掛けることが増え、物をつくる過程はブラックボックス化されていることが多く、私たちは消費者としてすでに出来上がった製品を選ぶことしかできないと思いがちである。しかし、こうしてワークショップというかたちで建物をつくる過程に参加することにより、okatteがつくられる過程を参加者で共有することができたことは、オーナーである私にとっては非常に有意義なことだった。
ワークショップ&イベントの意味
設計・施工フェーズでのワークショップやイベントは、okatteをつくる上で、二つの大きな意味があった。
一つはプロジェクトメンバーだけの議論では出てこない新たなアイディアや考え方が、多様なワークショップ参加者の発言や意見から生まれたということだ。小さな子どものいる親のニーズや、会費に関する利用者側の気持ち等、自分とはまったく異なる立場にいるからこそ出てくる言葉がokatteの空間や事業の奥行や幅を広げてくれた。
もう一つはokatteに関わりを持つ「関係人口」がokatteのできる前から広がったということだ。私は当初、ワークショップによってokatteの利用者や会員が増えることを期待していた。しかし、ワークショップの参加者はokatteのメンバーにはならなくても、SNSで今もつながりがある人もいる。緩いつながりではあるが、そういった「okatte所縁の人」が増えていくことは、okatteという場を見守る人の層の厚みが増すということである。彼・彼女らが何かの折にokatteに来てくれたり、あるいは遠くでokatteの活動を見てくれている、ということはとてもうれしいことだし、ある意味責任を感じることでもある。「okatte所縁の人」がokatteに関わったことを自慢にできるようなokatteにしていかなければと思うのである。
こうしたことから考えると、okatteはプロジェクトメンバーや施工業者だけでなく、ワークショップ参加者によってもつくられているのである。今いる人もいない人も含め、まさに「みんなでつくった」コモンスペースなのだ。
ワークショップはとても楽しかったが、それと並行して設計、施工も進む。私自身はプロジェクトメンバーとの打ち合わせ、大規模な断捨離から引っ越し、資金調達のための金融機関への事業説明、土地所有者である母の不安(家族以外の人が出入りすること、ご近所との関係など)への対応、さらに本業の仕事と、この間はとにかく目の回るようなあわただしい日々だった。次から次へと出てくる課題や決めなければならないことに追いまくられ、なかなか俯瞰でプロジェクトを見るということが難しかったのは事実だ。
その間にも工事は着々と進み、2015年3月末、とうとうokatteは竣工を迎え、引き渡しが行われた。真新しい木の内装や外壁は美しくて香りもよく、新緑の中で輝いていた。こうして、okatteにしおぎは2015年4月にオープンした。
次回はオープンからほどなくおとずれたokatte「ブレイク」についての話。